小規模事業者持続化補助金(以下、本制度)とは、販路開拓に取り組む事業者を支援するための制度です。
本制度を活用すれば、まとまった費用が必要となる販路拡大のための取組みにつき、自己負担額を大きく減少させることができます。
今回は小規模事業者持続化補助金について解説します。
- 制度の概要
本制度の概要は以下のとおりです。
□趣旨
本制度は、新たな商品、サービスの開発や新規市場への参入のためのコストだけでなく、集客に必要な広告宣伝費まで補助対象となるため、使い勝手の良さが特徴とされています。
またコロナ禍においては「低感染リスク型ビジネス枠」が新設され、接触機会を減らすビジネスモデルへの転換を支援しています。
たとえば店舗販売を行う小売店が新たにECサイトを開設してネット販売を行う場合や、英会話教室を経営する事業者がオンライン講座を新設するためのwebサイトを構築する場合など、多種多様なケースで申請が可能です。
□対象者
本制度の対象者は、「小規模事業者」に該当する法人及び個人事業主であり、業種ごとに定められた従業員数などによって判定します。
なお制度の詳細については、以下の小規模事業者持続化補助金ホームページをご確認ください。
(https://www.jizokuka-post-corona.jp/)
□補助対象経費
本制度の補助対象経費は、販路拡大のために必要となる機械や備品の購入費や外注費、ホームページやECサイト構築などの広告宣伝費など、公募要領に定義される13項目の経費に合致するものとなります。また「低感染リスク型ビジネス枠」の場合には、換気設備やアクリル板の設置費用も対象に含まれます。
□補助金額及び補助率
本制度により交付される補助金額や補助率は以下のとおりです。
・一般型
□補助率:2/3
□補助金額:最大50万円(ただし2020年1月1日以降に開業、設立した個人事業主や法人等の場合には最大100万円)
・低感染リスク型ビジネス枠
□補助率:3/4
□補助金額:最大100万円
このように「低感染リスク型ビジネス枠」の方がより手厚く設計されており、たとえば総額120万円の取組みについて補助金が採択された場合、120万円×3/4=90万円の交付を受けることができます。
- 補助金申請は「競争」である
本制度は国が運営する補助金制度であり、受給した補助金は返済不要となります。
しかし当制度をはじめ、補助金制度は要件さえ満たしていれば誰でも受給できるものではなく、申請者の中の一部の事業者しか受け取ることができません。
つまり国はお金をばら撒いているのではなく、補助金を交付することで事業者の取組みが成功し、その結果として税収アップや地域経済の活性化、雇用の創出へと繋がることを期待し、適切な「投資先」を選定しているのです。
- 自身の「強み」を分析し、取組みの実現可能性を根拠づけましょう
申請を行う事業者は、自らが実施する計画が“絵に描いた餅”ではなく、客観的に実現可能な取組みであることを訴求しなければなりません。
実現可能性を根拠づけるためには、「これまで培ってきた自身の強みを活かすこと」が極めて重要です。たとえば新商品を開発する場合、既存業務とは全く関係がなくノウハウが活かせない計画よりも、既存業務で培った強みを応用できる計画の方が、より実現可能性が高い取組みとして評価されやすいためです。
したがって自身の強みを活かすことが成功の根拠となり、適切な「投資先」であることをアピールできるのです。そのためには事業者は自己分析を行い、「新たな取組みに対し、自身の強みをどのように発揮できるのか」という点を意識して申請書を作成しましょう。
(まとめ)
今回は小規模事業者持続化補助金について解説しました。
新たな挑戦にはまとまった費用が必要となり、リスクを考えると躊躇してしまいがちですが、そのような場合に当制度を活用し、自己負担額を減らすことができれば、より思い切ったチャレンジが可能となります。
新たな取り組みを行う際には当制度を活用できないかどうか、ぜひ一度ご確認ください。