長引く新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、日本においては持続化給付金や家賃支援給付金、一時支援金、月次支援金など、事業者を支えるための様々な支援制度が導入されてきました。
そして2022年1月末からは新たに「事業復活支援金」が始まります。
当制度では中小法人等は最大250万円、個人事業者等は最大50万円が支給される大型の支援制度であるため、要件を満たす事業者は漏れなく申請手続きを行いたいところです。
今回は「事業復活支援金」について解説します。
- 制度の概要
事業復活支援金制度の概要は以下のとおりです。
■給付対象者
以下の①と②の両方を満たす中小法人や個人事業者が対象です。
①新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者
②2021年11月~2022年3月のいずれかの月(対象月)の売上高が、2018年11月~2021年3月の間の任意の同じ月(基準月)の売上高と比較して「50%以上」または「30%以上50%未満」減少した事業者
したがって過年度と比較して売上が50%以上減少した場合でも、その原因がコロナ禍とは関連がないケースでは給付対象とはならないためご注意ください。
■給付額
中小法人等は60万円~最大250万円、個人事業者等は30万円~最大50万円が支給されます。
なお給付上限額は売上高の減少率や売上規模にしたがって変動します。
(引用:事業復活支援金リーフレット
https://jigyou-fukkatsu.go.jp/assets/files/f_leaflet.pdf)
また具体的な給付額は以下の算式によって計算します。
給付額=基準期間(※)の売上高-対象月の売上高×5ヵ月分
(※)2018年11月~2019年3月/2019年11月~2020年3月/2020年11月~2021年3月のいずれかの期間とする(基準月を含む期間であること)
- 申請手続きについて
申請の際に必要な書類や手順は以下のとおりです。
■申請書類
- 履歴事項全部証明書(法人)または本人確認書類(個人)
- 確定申告書類の控え
(収受日付印の付いた2019年度、2020年度及び選択する基準期間をすべて含む)
- 対象月の売上台帳等
- 振込先の通帳
- 宣誓・同意書
- 基準月の売上台帳等
- 基準月の売上に係る1取引分の請求書または領収書等
- 基準月の売上に係る通帳等(取引が確認できるページ)
■申請の手順
①一時支援金または月次支援金をすでに受給している場合
上記申請書類(ア)~(オ)を添付し、マイページから申請を行います。
またこれらの申請書類についても過去の情報を活用できます。
②一時支援金または月次支援金をすでに受給しておらず、継続支援関係にあたる登録確認機関がある場合
事業復活支援金のアカウント登録を行い、継続支援関係にある登録確認機関から事前確認を受ける必要があります。
事前確認を受けた後に上記申請書類(ア)~(オ)を添付し、マイページから申請を行ってください。
③一時支援金または月次支援金をすでに受給しておらず、継続支援関係にあたる登録確認機関がない場合
事業復活支援金のアカウント登録を行い、ホームページより登録確認機関を検索し、事前確認を受ける必要があります。
事前確認を受けた後に上記申請書類(ア)~(ク)を添付し、マイページから申請を行ってください。
なお具体的な申請手続きや必要書類、事前確認については以下の事業復活支援金ホームページよりご確認ください。
(事業復活支援金ホームページ:https://jigyou-fukkatsu.go.jp/)
- 月次支援金との比較
事業復活支援金については、2021年4月~10月の売上を対象に実施された「月次支援金」と比較し、以下のように共通点だけでなく相違点も存在します。
■共通点
両制度ともに新型コロナウイルス感染症によって売上が減少した事業者を対象としており、申請に際しては事前確認やWeb申請が必要であるなど、手続きの流れも共通しています。
■相違点
2つの制度は下表のような違いがあります。
《月次支援金》 | 《事業復活支援金》 | |
【対象者】 | ・緊急事態宣言やまん延防止等重点措置による影響を受けた事業者 | ・地域や業種を問わずコロナ禍による影響を受けた事業者 |
【給付回数】 | ・月毎に判定し、複数回受給可能 | ・1回のみ |
【給付金額】 |
・中小法人:最大20万円/月 ・個人事業者:最大10万円/月 |
・中小法人:最大250万円 ・個人事業者:最大50万円 |
【対象となる売上減少率】 | ・50%以上 |
・50%以上または 30%以上50%未満 |
したがって月次支援金では給付対象から外れていた業種や地域の事業者についても、事業復活支援金では対象者に含まれる可能性があります。
また事業復活支援金では売上減少率が30%以上から給付対象に含まれるため、月次支援金よりも対象となる事業者の範囲が拡大することが見込まれるでしょう。
ただし2021年4~10月分にわたって最大で7回受給可能であった月次支援金に対し、事業復活支援金では一度しか申請を行うことができません。
事業復活支援金を一度受給してしまえば、その後さらに売上が減少し、他の月を対象月とすればより多くの支援金が受け取れる場合でも再申請は認められません。
そのため資金繰りの都合で一刻も早く支援金が必要な場合や満額を受給できる場合を除き、事業復活支援金の対象となる2021年11月~2022年3月の売上状況を精査し、給付金額が最大となる月を選ぶようにしましょう。
(まとめ)
今回は事業復活支援金について解説しました。
月次支援金と似た制度ではありますが、事業者の範囲は拡大する一方で一度しか申請できないなど、いくつかの相違点もあります。
制度の内容をしっかりと理解し、支援金を受給することでコロナ禍の苦境を乗り越えましょう。
なお、事業復活支援金の事前確認業務につきましては、当事務所と顧問契約を結んでいない方は4月1日以降の対応とさせていただきます。予めご承知おきくださいますようお願いいたします。